凡例の紹介。そして推測やリサーチのログなど。
画像で初めて観測。
「牧場」というワードをもらえたため、検索がしやすくなった。私がそれを見たのは、牧場の土地売買のサイトに載せられている写真だった。画面右手、紫色に見える土地の部分と川の間に、模様らしきものが見える。(写真で模様を見てみると、やはり「餌を与えた痕跡」という情報が揺らぐ。)土地売買のサイトやフリー素材などで景色を探すことができるかもしれない、良いヒントをえた気がする。
ところで、American Track Simulatorというゲーム(Track Simulator シリーズ)がある。プレイヤーはトラックの運転手になり、貨物を運搬するというゲームだ。このゲームでは、現実のルートに即した道を走ることができ、地形や景色などもある程度忠実に再現されている。ゲーム内マップを拡張するMODも多種配布されており、Montana Expansionというモンタナ州の主要な道路を走行できるものもある。地表の掻き傷がある場所まで走行してみるのはどうだろう、と考えている。荒野の雑なテクスチャが広がっていようと、それなりに満足できる経験になるかもしれないという予感がある。シュミレーションを徹底的に経験していくという手もあるのではないか。
「地表の掻き傷」と呼んでいるこの模様を求めてモンタナ州へ趣き、景色を網膜に触れさせたいという願望ももちろんあるが、それを今すぐ達成することはできない。その経験がゴールかと言われたら、少し違う気がしている。実際の模様もきっと、人の目の視線からは観測が難しいだろうし、カメラやドローンで撮影してもそれはデータであるし、究極...網膜を通した時点でそれを現実と呼ぶのかでさえ少し不安になる。しかしこれは悲観的な考えではないと思っている。決して、その場での経験が一番だと言い切ることができないということだ。それは発見が地図上だったことも関係しているはずだ。
2021.10.19
観測

2021.10.19
No.553
47.0709, -107.67963
返事がきた。MBMGからだった。その地域の近くで働く科学者によると「牧場主が牛に餌を与えている痕跡がある」そうだ。
「牧場主がトラックの荷台に干し草を積んで野原を走り、餌の長い列を落としていく」
即座にそのイメージの想像がつかなかったが、YouTubeではそれらしき餌やり方法の動画を見つけることができた!YouTubeは本当に助けられることが多い。
干し草が落ちていった痕跡が、果たしてこの様な土地を削った様なテクスチャになるのだろうか?という疑問もまだあるが、トラックが走り、牛が干し草を食みながら地面を踏んでいけばこうなるのかも知れない。(友人が推測してくれた、感謝!)
とすると、草が生え変わればやがてこの線は消えてしまう。地表の細やかな代謝の一瞬かも知れない。
(No.553 埋め込んだ地図上の線の模様の上に群れが見られる。他のスポットでも確認済み)
この模様についての手がかりを、なるべく現場の近くに住む人々から得るにはどうしたら良いか考えた。
この模様を、目の当たりにしたことがあるかもしれない人たちに対して、聞きたい質問は以下の通りである。
1. このような模様に心当たりはあるか?
どこで観察したか?その模様が写っている風景の写真があれば見せてもらうことはできるか?
どこで観察したか?その模様が写っている風景の写真があれば見せてもらうことはできるか?
2.なぜその模様が発生するのか?
車の運転や農作業の際に発生する人工的な線(わだち)ではないかと予想している。しかし自分が気になっているのは、この模様と水資源との関係であった。この模様は、クーリー(雨水や雪解け水が地面を削りながらできた川、大小関わらず広く使われる用語)や貯水池の近くに位置していることが多い。ここに何か関係はあるのか?もし関係があるとしたら、水資源の活用におけるどんなマシンや車が、この模様をを作っているのか?
車の運転や農作業の際に発生する人工的な線(わだち)ではないかと予想している。しかし自分が気になっているのは、この模様と水資源との関係であった。この模様は、クーリー(雨水や雪解け水が地面を削りながらできた川、大小関わらず広く使われる用語)や貯水池の近くに位置していることが多い。ここに何か関係はあるのか?もし関係があるとしたら、水資源の活用におけるどんなマシンや車が、この模様をを作っているのか?
3. 形状への疑問
これらの形状から行動の目的を想像するのは非常に困難である。統一感がなく、ランダムに並んでいるようにも見える。中にはドットが並んでいるものもある。この形から、どんな動きが推測できるか?
これらの形状から行動の目的を想像するのは非常に困難である。統一感がなく、ランダムに並んでいるようにも見える。中にはドットが並んでいるものもある。この形から、どんな動きが推測できるか?
4.このパターンは、マッピングの際に生じる航空写真の処理に大きく影響されているのだろうか?
このパターンは実際にはそれほど良く見えず、何らかのフィルターや描画、画像処理によってパターンがはっきりと浮かび上がっているのではないかという推測もした。
このパターンは実際にはそれほど良く見えず、何らかのフィルターや描画、画像処理によってパターンがはっきりと浮かび上がっているのではないかという推測もした。
農業、もしくは水資源に関わる産業などに目をつけていた。特に、灌漑に何かヒントがありそうだと思ったが、その景観に轍がいかに関わるかまで想像が及ばなかった。
いくつかある疑問と憶測を検討するには、より多くの関係者に接続できるプラットフォームが必要だった。
はじめに、アメリカ地質調査所(USGS)のウェブサイトにアクセスした。
USGSでは地域ごとのデータベースにアクセスすることができる。モンタナ、ノースダコタ、サウスダコタ、ネブラスカ、カンザス州含むRegion 5: Missouri Basinは、主に外来種、水資源、災害、天然資源、燃料資源、魚・野生動物とその生息地の回復などの問題についての科学的な研究を実施している。
Region 5: Missouri Basinでは地図や出版物やなどのデータベースを公開しているだけではなく、提携している研究施設、地域に根ざしている部族をパートナーとして紹介している。それらのウェブサイトを見れば、さらに、スタッフや研究員などの個別へのアクセスが開かれていた。多様なアクセスに容易にたどり着くことができ、今回は非常にそれに助けられた。
農業や水資源というキーワードを足がかりに探っていたため、モンタナ鉱山・地質局?(MBMG: The Montana Bureau of Mines and Geology)と、ワイオミング・モンタナ水質科学センター?(WY-MT Water Science Center)のコミュニケーションアドバイザーとスタッフにコンタクトをとった。前者、MBMGは規制を受けない州の機関である。MBMGは、州の地質、鉱物、エネルギー、水資源に関する広範な助言、技術、情報を提供し、過去に行われた採掘や、現在行われている農業や工業による土地や水への環境影響の調査に注力している。
フィールドワークからマップへとデータベースを作成している、この様な研究に携わる人々であれば、この模様について何か知っているかもしれない。「地表の掻き傷」のマイマップのリンクを載せたメールを送り返事が来ることを祈った。
このまま何もヒントが得られず、ただの模様として過ぎ去ってしまう可能性が高い。
ただの模様...デジタル地図のスポットとスポットのはざまを埋め尽くす、この無味な模様の部分に、私が大切にしたいと思えるものがある気がする。
この模様をきっかけに、その土地リソースと人々の暮らしの関係を知れたら嬉しく思う。地表の掻き傷は、連綿と続く平坦な模様の中に生まれた記号のはずだ。景色を想像する力を地図に取り戻す記号。私はとにかくこの模様が持つ景色を想像したい。
2021.10.07-10.14
推測などの記録
No.736
47.02512, -107.25113
はらい
点線のようなものが多い中で、これは鋭くしなやかに伸びた線が特徴。書の「とめ」「はね」「はらい」に基づいた名前をつけた。
(マイマップ上のキャプションより)
ただの線と思いきや、拡大してよく見ると、点が連なっていることが多い。もし人工的なものであれば
それはどのような速度の動きなのだろうか。
(マイマップ上のキャプションより)
No.70
46.66181, -107.84206
点線
No.58
46.66443, -107.80668
楽譜
ナンバリングと合わせ「楽譜」としたこの場所は、並行線とその中に点在するドットの様子から名付けた。(右隣に位置する「60-楽譜」も似たような質を持っているようにみえる。)これらの模様は人工的で、轍のような痕跡だと今は仮定している。しかし、この見た目の奇妙さが、遠い土地にどのような身体があり、土地に対するどのような営みがあるのかという想像を困難にする。まるで初めて楽譜を見たときのような経験だ。(身体とその移動の痕跡であると仮定して「277-舞踏譜」というスポットを後で追加した。)
(マイマップ上のキャプションより)
これら線の紋様は、農地や貯水池の近くに見られることが多いことから、農耕機による人工的なものだと予想している。しかし、短く途切れた線や、山間にある模様はどうして生じているのだろうか。
(マイマップ上のキャプションより)
No.14
46.37243, -106.91331
No.1
46.74147, -106.91248
発見と名付け
2021.03.03に発見。採集するスタートとなった場所。 発見当初、新しい地上絵の発見の可能性をすぐに疑ったが、それらしい観光の情報は出てこなかった。次にこれが、自然の作用でできたものだと思い、似たような地形の場所を観察した。すると、同じような質(線の細さや、薄い黄色い色味、過密性など)を持った模様が次々と出現した。この「1」のような、虫が沸いたような、気持ちの悪い紋様は一体何なのかものすごく惹きつけられてしまった。
これは、何千年も残り続けたイメージでもなく、ダイアグラムでもない。目的は感じるが、形象と密接ではない。そういった予想を抱いている。
そもそものきっかけは、昔、飛行機から見た景色を見に行こうとなんとなく地図アプリを開いていたことだ。縦横無尽にスワイプしていた中で、この場所に目が止まった。削れたようなテクスチャと、この喜ばしくない形象に、まるで蕁麻疹だ...と身に覚えを感じた。由来なき広大な土地をスクロールする中で、自分の皮膚感覚を想起させるような風景に出会うとは思わなかった。地表の掻き傷とはそんなイメージでつけた主題図のタイトルだった。
1.拡大してみると、その土地が少し剥がれたようなテクスチャであることがわかる
2.土地を引っ掻き回したような、動きのある線の集合
このような条件で模様を採集し始めた。
(マイマップ上のキャプションより)